山里の四季の移ろいの中でハーブや花を育て、その生活の様子を伝えていたベニシアさん。
ベニシアさんの軌跡や、直接の死因ではありませんが、ここ数年患っていたPCAという病気について見てみましょう。
ベニシアさんの代表作『猫のしっぽ カエルの手』
NHKで人気番組であった『猫のしっぽ カエルの手』は、「京都 大原 ベニシアの手づくり暮らし」というタイトルで2009年からNHKデジタル衛星ハイビジョンで放送が開始された紀行番組です。
2013年からは地上波での再放送が開始されました。
京都・大原にある古民家で、季節に寄り添って暮らすイギリス出身のベニシアさん。
山里の四季の美しい移ろいの中で、ゆったり営まれる手づくり暮らしを、詩的映像でつづる静かな穏やかな番組でしたね。
ベニシアさんはイギリス・ロンドンの貴族の家系に生まれましたが、貴族社会に疑問を抱き、また両親の離婚もありイギリス国内外を転々としていたそうです。
バックパッカーとしてインドを経て1971年に日本に渡りました。その後、京都長岡で英会話教室の経営を始めています。
離婚・再婚を経て1996年から大原の築100年の古民家に移住。
ベニシアさんは友人のアドバイスでハーブを育て始め、2002年にNHKの「わたしのアイデアガーデニングコンテスト」で特別賞を受賞しました。これがきっかけで新聞などのメディアがベニシアさんの暮らしに注目。ハーブ教室を始めるなど、ハーブ専門家として活動を始めたということです。
番組では主に、在住する京都市大原を舞台に、日本の知恵を生活に取り入れながら、200種類以上のハーブを育て、人と自然に優しい生活を実践する姿や、地域の人々の暮らしや風土、そして自らの料理や、ハーブを使っての様々な手づくりを伝えていました。
新・旧・和・洋が合わさったセンスの良い暮らし、それでいて誰もが取り入れることができてしまう身近さに、とても人気がありました。
しかし、番組の主な舞台となるベニシアさんの自宅を訪れる観光客が増加してしまい、ベニシアさんとその家族、周囲の人々に迷惑がかかるようになり、番組やホームページで訪問を自粛するよう注意を呼びかけるなどという異例の事態に発展しました。番組も2012年後半からアンコール放送の割合が増え、本放送も自宅ではなく地方でのロケ収録が中心となっていったようです。
数年前から患っていた病気PCA(後部皮質萎縮症)とはどんな病気?
ベニシアさんは2016年頃から「目が見えにくい」と訴えるようになり、白内障と診断され、手術を受けたものの回復せず、その後、大学病院で検査してみたところ、ベニシアさんが目が見えない理由は視神経の障害だと診断されました。
病名は「PCA(後部皮質萎縮症)」という病気で、視覚系の働きを担う後頭葉の萎縮をきたすという病気でした。脳梗塞を原因とすることもあるそうですが、ベニシアさんの場合は分かりません。
なんらかの原因で、視覚を司る脳の部位が萎縮してしまったため、ベニシアさんは目が見えなくなっていたようです。
また、番組内では記憶障害も出ていることも明かしていたようです。
目が見えにくくなり、生活にも不自由が生じてきてしまいましたが、旦那さんである登山家/写真家の梶山正さんや長年の友人などの手を借りて、近所を散歩したり、穏やかに暮らしていたようです。
そして、2021年には介護施設に入居されたようです。
コロナの緊急事態宣言も出されていたこの頃は、家族も面会ができなかったようです。
面会が可能になってからは、旦那さんの正さんは毎日面会に通い30分ほどの散歩をしていたとか。
また外出許可を取り、自宅で子供の誕生日パーティーを開いたりしていたそうです。
まとめ
PCA(後部皮質萎縮症)という視覚に影響のある病気を患いながらも、ご家族や周りの方々に愛されて過ごされたことがよく分かりました。
貴族の家系から日本に渡り、ハーブ専門家として素敵な暮らし方を見せてくれたベニシアさん。
日本の文化と外国の文化の融合したセンスの良い暮らしの様子を、とても印象深く私たちの心に残してくれましたね。
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