【らんまん】火落ち菌で廃業したのはなぜ?乳酸菌で悪影響がヤバすぎた!

火落ち菌1 芸能

神木隆之介さんが主人公を演じる2023年NHK連続テレビ小説「らんまん」。

幕末から昭和の激動の時代、愛する植物のために情熱的に生きた植物学者・槙野万太郎の波瀾(はらん)万丈な生涯を描いた作品です。

その中で、日本酒の酒蔵において「腐造(ふぞう)」ということが起こります。

この「腐造(ふぞう)」。

実は、乳酸菌のひとつの『火落ち菌』が関係するのだそう。

ここではそんな『火落ち菌』について見ていきましょう!

 

火落ち菌とは乳酸菌のひとつ!

乳酸菌のひとつ

火落ち(ひおち)とは、日本酒の製法用語の一つで、製造している日本酒が貯蔵中に白濁して腐造することをいう。火落ち菌(火落菌)によって引き起こされる。これを防ぐために火入れという工程が行なわれる              ≪Wikipediaより≫

この火落ちという現象を起こす「火落ち菌」は、乳酸菌の一種で、日本酒に入り込むと濁りを生じ、酸化させ、また臭みを帯びさせる菌だそうです。

火落ち菌1

6%ぐらいのアルコール濃度を好む菌ですが、なんと25%程度でも問題なく成育してしまうのだそう。また日本酒のような弱酸性の環境を特に好む菌なので、まさに日本酒は火落ち菌にとって理想的な生活環境といえるようです。

火落ち菌についての研究は、1906年に東京帝国大学の高橋偵造によって開始され、ふつうの細菌用培地には育たないが、日本酒を入れると生育する菌がいることを発見したことから真性火落菌と命名されました。

これは、日本酒の中だけに菌の生育に必須の成分が存在することを示していて、後にコウジカビが生成するメバロン酸(通称「火落ち酸」)を主食とすることが今日では解明されています。

火落ち菌の種類

火落ち菌は発酵形式により、主に3つの種類に分けられます。

  • ホモ型真性火落菌
  • ヘテロ型真性火落菌
  • 火落性乳酸菌

ホモ型真性火落菌の場合、なんと25%ほどのアルコール度数の中でも生育できてしまうのだそうで、非常に厄介な種類といえそうですね。

火落ち菌を退治する”火入れとは”

火落ち菌が活発に活動できる温度帯は28~30℃で、65℃前後で死滅します。

その性質を利用して、昔から日本酒を作る際にはこの”火入れ”という作業が行われています。

火入れといっても沸騰するほどの温度で加熱するわけではなく、60度から65度あたりの温度に調整して行われる低温殺菌のことを指します。

火入れを行うことにより日本酒の発酵を抑制し、火落ち菌を死滅させてくれるのです。

また、火入れのタイミングは日本酒の貯蔵前と瓶詰め前の2回行う事が多く、流通する日本酒の多くはこの”火入れ”を行ったものとなります。

明治時代に来日したイギリスの化学者ロバート・ウィリアム・アトキンソンが、日本の杜氏が酒の表面に「の」の字がやっと書ける熱さとしてぴったりと華氏130度(約55℃)を充てることに驚きを表明している、なんてエピソードもあるようです。

日本では昔から経験からの対処が行われていたのですね!

 

ちなみに、火入れをせず、日本酒のなかに火落ち菌を放置すると、過熟(かじゅく)になって、酒が酢のようになったり、老ね香(ひねか)を発したりすることがあり、「ひねた酒」とよばれるそうです。

 

酒蔵が廃業に追い込まれることも

今も昔も、火落ち菌による「腐造」の発生は、蔵の経営を左右するほどの大事態で、腐造が原因で廃業に追い込まれる蔵もあったようです。

火落ち菌の発生した桶は以後数年間にわたり使用できなくなるそうです。一度菌が住み着くと完全に殺菌することが非常に困難であることが理由とされています。

日本酒造りに使用する木桶の歴史は古く、室町時代中期に初めて「オケ」という名称が現れたことに始まります。

この「オケ」の登場によって、当時、壺や甕で少量ずつ造られていた日本酒を大量生産することが可能となったのです。

しかし、昔の不衛生な木樽では内部まで完全に殺菌することが困難だったため、「腐造」は頻繁に起こっていた現象で、ひとたび起こると何年にもわたってその酒蔵を悩ませる災害となっていました。

現在では、ほとんどの蔵で管理のしやすいホーロータンクを使用していますが、 木桶ならではの味わいや昔ながらの循環型社会を取り戻そうと、新桶を使用したり、蔵に眠っていた木桶で日本酒を仕込む蔵も増えています。

製造中の管理、火入れ、殺菌等の進歩により、きわめて稀にみられる程度に減った「火落ち菌」による「腐造」ですが、日本酒作りに携わる職人さんたちの努力を改めて実感することができますね。

 

そんな「火落ち菌」との戦いのような日本酒造りですが、実は「火入れ」を行わないお酒もあるのです。

生酒」と呼ばれ、加熱処理をせず搾ったままの状態で出荷されるため、フレッシュな若々しい味わいが楽しむことができます。

しかし、酒の中に残った酵素は働くため、酒質が変化し続けてしまいます。

酒販店で「生酒」が冷蔵ケースに入れられているのはそのためで、デリケートなお酒なので購入したらすぐに冷蔵庫に移し、開栓後は早めに飲み切るようにしましょう!

また、「生詰酒」や「生貯蔵酒」と呼ばれる種類の日本酒もあり、貯蔵前に火入れを行い、出荷前には火入れを行わない日本酒が「生詰酒」、貯蔵前に火入れを行わず、出荷前には火入れを行なう日本酒が「生貯蔵酒」となっています。

どちらも2回目の火入れを行わないため、生酒のようなフレッシュな味わいを楽しむことができ、まろやか口当たりとふくよかな旨味を楽しむことができます。

 

古くからある日本酒。

昔からの職人さんの知恵と努力、そして「火落ち菌」を発見し研究した研究者たちの努力があって、今もなお美味しい日本酒を楽しむことができているのですね!

色々なタイプの日本酒を、これからも楽しんでいきたいものです。

 

 

 

 

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